鎌刷毛

鎌刷毛

器物の内側側面を塗るのに適した漆刷毛です。
このような特殊刷毛は使用目的に合わせて漆刷毛を加工し自作するのが最も良いですが、
加工にちょうど良い刷毛を持っていない…
とはいえ加工用にわざわざ本通しや半通しを買うのはなぁ…
という方は、こちらをどうぞ!
ほぐし済みの刷毛のあたまと柄を用意しました。
こちらをご購入の方は以下の④〜⑥を参照しながら用途に応じて調整して仕上げてください。一から自作する場合は以下の注意点と①〜⑥をお読みのうえ挑戦してみてください💡

自作する場合のポイントと注意点


❇️未使用の上塗刷毛を用意してください。
使用中の油が染みた刷毛だと、頭を切り落とす際に頭が壊れてしまう可能性があります。また、毛先の固めがゆるめに作られている並通しや切り出し刷毛も、切り落としたときに頭がバラけてしまう可能性が高いです。必ず未使用の上塗刷毛を使用して下さい。摺漆をしておくとより安心です。

❇️毛先の角度と長さについて
完成してからでも長すぎた毛先は調整できますが、毛先を短く作ってしまった鎌刷毛は、それ以上根元をいじって毛を出すことは破損の原因になってしまいます。毛先はまずは少し長めかな?と感じるくらいにしておいたほうが良いかもしれません。
用途にもよりますが、毛先は斜め切り出しにしたほうがヘリが器物の底にぶつからずに塗れます。

作り方

①刷毛をほぐして洗う

ほぐし方、洗い方は仕立て方(使いはじめ)を参照。毛先の細かい調整は、鎌刷毛に加工してからでも大丈夫です。洗ったあとはよく乾かして次の工程に進んでください。

②刷毛頭を切り落とす

並通しの説明では、刷毛を立てて切ったほうが毛の摩擦が小さく済み「これから毛先となる部分」の毛板にダメージを与えずに切ることができると書きました。一方、上塗刷毛は毛固めがしっかり作ってあるので、刷毛を立てて切っても寝かせて切っても大丈夫です。
しかし、鎌刷毛加工の際は例外で、このとき上塗刷毛は必ず寝かせて頭を切り落としてください!鎌倉刷毛は「切り落としたもの」が大切です。木目の関係で、刷毛を立てて切ると切り落とすほうの木部に亀裂が入ってしまう恐れがあるからです。また、切る長さは根元ギリギリではなく、毛先と同じくらいの長さで切ると安全です。

③サンドペーパーで切り口を平らにする

400〜600番くらいのサンドペーパーで切り口を平らに整えます。あまりゴシゴシして壊していまわないよう注意してください。このとき毛先部分をマスキングテープでくるんでおくとせっかく洗った毛先が汚れずに済みます。

④柄をつける

用途に応じた柄をつくり、接着します。直角にくっつけるだけでなく、柄の接着部分をやや削って斜めに付けたり、持ち手にアールをつけたり、器物の形に応じて工夫してみてください。接着剤はゼリー状の強力な瞬間接着タイプがオススメです。
しっかりくっついたら、頭の柄のでっぱりなどが器物に当たらないよう、切り出し刀を使って邪魔な部分を削いでください。

⑤毛先の調整

柄を持ったときの力の入り具合や漆の濃度に応じて毛先の長さやボリュームを調整します。調整の仕方は仕立て方(微調整法)の③④を参考にしてみてください。

⑥補強

刷毛のあたま部分に紙着せをしたり漆を塗ったりして補強しておくと安心です。

ところで…

 本当に鎌刷毛、作りますか⁉️


頭を切って鎌刷毛を作らなくても、斜めの切り出し加減だけでもうまく塗れる場合があります!冒頭の写真の弁当箱などは角度を少しきつめに切り出すだけで充分塗れそうですね。あたまを切り落とす前にまず刷毛を器物にあてて確認してみてくださいね💡

↓切り落とす前…これでOKかもしれません!