乾漆刷毛

乾漆刷毛

馬のフリ毛(たてがみ)でできた厚手の刷毛です。人毛よりも丈夫でコシがあります。乾漆製作時に便利なことから乾漆刷毛という名がついていますが、用途は多様です。毛の色でコシの強さが違い、茶色い「ゴマ(コシ強)」と灰色の「青(コシ弱)」の2種類あります。



向いている作業

❇️人毛の漆刷毛では摩耗が激しい作業
❇️ヘラを用いるには形状が複雑な部分への下地付け

例)乾漆作品制作、木地固め、下地付け、和紙貼り、布貼り、粉固め など


構造

5分、8分、1寸は本通し。下記参照
1寸2分、1寸5分は半通しになります。半分からは木板を挟んであります。

本通しの構造について

毛の流通事情により、仕入れられる毛の規格は常に一定とは限りません。毛束の最後が急にこける毛だった場合は、その分切り落として刷毛の全長を短く作るのではなく、長さは維持したまま"差し毛"をして調整することがあります。数ミリほど人毛の差し毛が入りますが、刷毛を逆から使用したりしなければ問題ありません。

↓巻き込み接着前。右の小さな毛板の破片が"差し毛"です。右側が刷毛のおしりになります。

↓接着後はさらにおしりを切り揃えるので、最終的に差し毛が入っている長さはほんのわずかです。

↓完成品の断面。うまく馴染みました。

↓完成品のおしり。差し毛は人毛なので色が違うのが分かります。こちらからは使用しないで下さい。