使いはじめ

はじめて漆刷毛を手に取った人は、
ナニコレ?毛がかたい!
どうやって塗るの!?
と思われるかもしれませんね。
もちろんそのままでは塗れません。
漆刷毛を使うには、まず固まっている毛をほぐすところからスタートです❗️



はじめて漆刷毛を買おうとしている方は、まず以下の使い方をざっと読んでみてください。ちょっと自信がないな…ほぐす道具をそろえるまでが大変そうだな…という方は、ほぐし済みの切り出し刷毛から漆刷毛にチャレンジしてみてください。

①毛先の長さを決める

よく研いだ刃物で、刷毛の毛先の長さを好みで調整してください。購入時の毛先はあくまでも化粧切りです。毛先の"形"はほぐしてから調整できるので、無理に整えなくても大丈夫ですが、長さはこの時点で決めてしまうと楽です。短くしたい場合は毛板の先端を、長くしたい場合は根本の木板を少し剥いで好みの長さにしてください。
毛先の出ていない刷毛は、まずノコギリで切れ目を入れて板を剥ぎ、毛板を出してください。

②ミミをとる

毛先の長さを決めたら、刷毛の毛先の両側についているミミ(三角形の木部)をとります。毛を切らないよう気をつけてください。

③毛をほぐす

糊漆で固まっている毛を叩き、ほぐしていきます。硬い木の台の上でプラスチックハンマー(※)を使って叩くと、毛が傷みにくくておすすめです。

叩き方は、毛と木板の境を台のヘリにひっかけ、ハンマーで端から徐々に、そして全体をまんべんなく叩いていきます。全体がほぐれてきたら、台のヘリでこすります。叩いてこすってを繰り返し、根元までほぐします。

どうしてもほぐれないカリカリがある…
これ以上叩いたら毛が切れてしまいそう…
そうなったら、水の出番です。毛先を濡らし、しっかりとタオルで水気を拭き取ってから叩きます。翌日、完全に乾いてから叩いても良いです。一度濡らすと糊漆の塊がほぐれやすくなります。

※刷毛や狐では刷毛をほぐすときだけでなく、全ての作業にBESSELのプラスチックハンマーを使用しています。大きい刷毛のほぐしには1ポンドを、小ぶりの刷毛ほぐしや細部の仕上げ叩きには1/2ポンドを使用しています。どちらもあると便利ですが、まず一寸以下の刷毛ほぐしだけに使うなら1/2がおすすめです。

④掃除機で吸う

ほぐした毛先に掃除機の細口ノズルをあてて、スイッチオン!ノズルの縁でこすりながら毛の中の細かい糊漆の粉を吸い込みます。
こうすると以降の洗いの工程が格段にラクになります。

⑤毛先の調整

毛先を濡らし、よく研いだ切り出し刀などを使って、ハンマーで叩きほぐしたときに傷んだ毛の表面を削ぎ取ります。
また、①でうまく形を作れなかったり、ほぐしてみたら思っていた形と違かったという場合も、このとき調整できます。切り出し刀で少しずつ削いで好みの形を作ってください。

毛先の"長さ"を調整する場合は「新しく毛先をつける(微調整法)」でご紹介しています。

⑥のり洗い

のりを含ませ、ヘラで突き洗いします。
茶色い色が出なくなるまで突き洗いしたら、流水でノリを洗い流します。水でゴシゴシ洗うと水が毛板の根本の奥まで沁みてしまい刷毛が膨張して破損の原因になりますので、必要以上に濡らさず手早く洗ってください。

しっかりと水気を拭き取り、よく乾かしたら…完成です!

刷毛や狐のYouTubeチャンネルでは刷毛の仕立て方を動画でご紹介しています。また、動画の概要欄にはより詳しい解説を載せています。
刷毛を作っている本人が言っているのだからこれが一番正しい方法だ!というわけではなく、あくまでも一例です!!動画の概要欄にはなぜこのようにするのか?の解説も書いてみたので、あくまで参考として、なるほどと思ったところがあれば取り入れてみていただければ幸いです🙇‍♂️💡ネットにもいろいろなやり方が載っていると思いますので、他の方のやり方や、お手持ちの道具のご都合にあわせて行ってみていただければと思います🙇‍♂️